ひとくちに「スポーツAIカメラ」といっても、その仕組みは大きく2種類に分けられます。どちらもAIを活用してプレーを自動で撮影する点は共通していますが、「AIがどこで働いているか」がまったく異なります。ここでは、その2つのタイプを「全景撮影タイプ」「追尾撮影タイプ」と呼び、それぞれの特徴を整理してご紹介します。

全景撮影タイプ

1つめは、ピッチやコートの全体を録画してしまうタイプです。180度以上の超広角レンズ、あるいは複数のカメラを組み合わせることで、フィールドの全景をまるごと記録します。

このタイプの特徴は、カメラ自体は動かさず、撮影した全景の映像から、プレーが起きている部分をあとから切り出すことで、あたかもカメラマンがプレーを追いかけているかのような映像を生成する点にあります。AIが活躍するのは、まさにこの「切り出し」の工程です。広大な全景映像の中から、いまボールやプレーがどこにあるのかをAIが判断し、見どころを自動でフレーミングしていきます。

カメラを物理的に動かさないため、急な展開でも撮り逃しが起きにくく、1つの全景映像から複数の視点を生成できるといった強みがあります。試合全体の陣形や、ボールから離れた場所での動きまで見返すことができるため、戦術分析との相性がよいのもこのタイプです。

なお、このタイプの製品には「AI追尾」とうたっているものもありますが、その多くはカメラ本体を動かしているのではなく、全景映像の中でAIが切り出す位置を動かしているものです。名前だけを見ると次に紹介する追尾撮影タイプと混同しやすいので、注意が必要です。

追尾撮影タイプ

2つめは、プレーが起きている場所に合わせて、カメラそのものを向けていくタイプです。人が手でカメラを振って選手を追いかけるのと同じことを、AIが自動で行います。

このタイプでは、ピッチのどこがいま撮るべきプレーシーンなのかをAIが判断し、その方向へカメラを向け続けます。AIが活躍するのは、この「どこを撮るべきかの判断」の部分です。全景撮影タイプが「撮ったあとに選ぶ」のに対し、追尾撮影タイプは「撮る前に狙いを定める」と考えると、違いがわかりやすいかもしれません。

追尾撮影タイプは、さらに構成によって2つに分かれます。1つは、撮影用のカメラとAI・可動機構が一体になった一体型。もう1つは、汎用のカメラやスマートフォンを撮影用に取り付けて使う搭載型(マウント型)です。手持ちのスマートフォンを活かせる手軽なものから、専用機として完結するものまで、幅広い製品があります。

まとめ

同じ「スポーツAIカメラ」でも、全景を録ってから見どころを切り出す「全景撮影タイプ」と、プレーに合わせてカメラを向ける「追尾撮影タイプ」とでは、仕組みもAIの役割も大きく異なります。前者は試合全体を見返せる強みがあり、後者は手軽さや映像を利用しやすいことが持ち味です。製品を選ぶ際には、自分の使い方がどちらのタイプに合っているのかを意識すると、選択の軸が定まりやすくなります。