数十台のスマホと機械学習で精度向上、2024–25シーズンから本格運用予定

イングランド・プレミアリーグは、2024–25 シーズンからAI 技術と大量の iPhone を組み合わせたオフサイド判定システムを正式に導入する計画を進めている。これにより、従来の ビデオアシスタントレフェリー(VAR) に代わる、より迅速で精密な判定支援を実現することを狙う。


背景:オフサイド判定の難しさと従来システムの課題

サッカーのオフサイド判定は、攻撃側の選手がボールを蹴った瞬間に最も後方にいる守備側選手と比較して位置が前か後ろかを判断するもので、判定が極めて精密さを要する。選手の動きが速く、複数の映像角度が必要なため、VAR でも判断の遅延や誤判定が発生することがあると言われてきた。

プレミアリーグではこれまで VAR システムを用いてオフサイド判定を行ってきたが、遅延や不正確さが批判されることがあり、改善の余地が指摘されていた。


新システム「Semi-Assisted Offside Technology(SAOT)」とは

この新技術は、スポーツデータ企業 Genius Sports が開発した Semi-Assisted Offside Technology(SAOT) と呼ばれるシステムに基づくものだ。大量の iPhone 端末と機械学習モデルを組み合わせ、3D 空間で選手の位置や動きを把握する。

  • 24〜28 台の iPhone(主に iPhone 15 Pro) をピッチ周囲に設置
  • 100 fps 前後の高フレームレートで映像を撮影
  • 約 7,000〜10,000 のデータポイント を各選手の位置情報として取得
  • すべてのデータを集中処理し、3D モデル化してオフサイドライン判定を行う

このアプローチにより、従来の VAR よりも遥かに多くの視点から選手情報を取得でき、部分的に視野が遮られた場合でも高精度な位置情報を推定することを目指す。


なぜ iPhone を使うのか

従来の高性能カメラシステムは高価であり、設置や運用コストが大きな課題だった。Genius Sports は、ソフトウェア開発が容易でかつ高フレームレート撮影が可能な iPhone を多数組み合わせることで、より柔軟かつコスト効率の高いシステムを実現したと説明している。

複数台の iPhone を異なる角度に設置することで、選手やボールの位置を詳細に追跡することが可能となる。


実運用の時期と今後の展望

Genius Sports の SAOT は 2024–25 シーズン中の導入が予定されており、プレミアリーグは今後これを用いてオフサイド判定の精度向上と判定時間の短縮を図る。正確な運用開始日については公表されていない。

AI や機械学習を組み合わせた判定支援技術は、スポーツ技術の新たな潮流として注目されており、サッカーにおける判定の透明性・速度・一貫性を高める可能性がある。


用語解説:VAR とは

Video Assistant Referee(VAR) とは審判の判断を補助するシステムで、主にゴール/オフサイド/重大なファウルなどの判定に関して、複数のカメラ映像を分析して審判に助言を行う。国際的には2018年に正式に導入され、サッカーの判定支援技術として広く普及している。


まとめ

  • プレミアリーグは従来の VAR システムに代えて、iPhone と AI による新しいオフサイド判定技術 SAOT を導入する予定だ。
  • 多数の iPhone を活用することで、細かな選手位置情報や高フレームレート映像を組み合わせた高精度判定を可能にする。
  • 導入は 2024–25 シーズン中を予定 しているが、具体的な日程は今後明らかになる。

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